変形性股関節症の手術
変形性股関節症の末期と診断されている方が来院されました。この方は還暦近くに医師から手術を勧められたそうですが、「今の年齢で人工関節にすると再手術が必要になるだろう」とも言われました。この言葉を聞いてこの方は「股関節の手術は生涯で1回だけにしたい」と考え、リハビリで頑張ってきました。
しかし、最近、痛みが強くなり歩くことがおぼつかなくなってきて悩んでいる時に、当院に通うお孫さんが鍼を勧めてくれたそうです。
この方の股関節は硬くなっていて、胡坐のような足の形は出来ません。股関節を曲げるのはすんなり動きます。股関節を曲げる動きがスムーズな為、今まで歩くことはあまり不自由しなかったそうです。
この方に足の長さの差は3センチ、入れているインソールは1.5センチです。
鍼灸でガチガチに硬くなった股関節や下肢の筋肉が緩くなると、歩き方が変わりました。施術を重ねることで脚長差が約5ミリになり、ソールは市販の薄いものに変わりました。末期といわれる変形性股関節症でしたがかなり動きが良くなりました。
この方とは何年ものお付き合いとなりました。半年に1回、整形外科で画像診断を受けていましたが、股関節の変形に進行がないので、積極的に手術を勧められることもなく、鍼灸とリハビリで過ごしていました。
しかし、私が産休を頂いてから8ヶ月が過ぎた頃、股関節の調子が悪くなったと連絡を頂きました。慌てて股関節を診させていただきましたが、2週間に1回ではなかな改善しませんでした。
すると、この方は「手術しよう」と決めました。
人工関節の使える年月は十数年(かなり個人差あり)です。人工関節はまだ何十年と使い続けられる耐久性はありません。だからこそ、伸ばしに伸ばしてきた手術ですが、ご本人は「今が手術する時なんだ」と感じたそうです。「迷いなく、良い時期に手術に進める。今までありがとうございました。」と仰っていました。
手術後は人工関節に慣れるのに数ヶ月、リハビリを頑張ったそうです。今は人工関節に慣れ、随分生活しやすくなったと聞いています。