体質や症状と向き合う

患者さんからよくある質問で「先生、私の病気は何ですか?」と「病院に行かなくても大丈夫ですよね?」というものがあります。

ある程度の返答が出来る場合もありますが、返答に詰まるのが殆どです。私は、患者さんのお腹や脈や舌を診て、「体が冷えて力が無く、胃腸の動きが停滞している」と言ったような事は言いますが、内臓の状態が見えているわけではありません。まして細胞単位の病変に気が付く事は出来ません。

脈や舌、お腹を「診る・触る」のは病気を見つける為ではなく、その人の体の観察して体調や体質を判断する為です。病気を見つける診断とは違います。

鍼灸治療は、体を元気にして生活の質を上げる事に力を発揮します。例えば、曲がりにくい膝が曲がるとか、服薬しなくても頭痛が緩和するとか、肩が動くようになるとか、握力が回復するとか…その他にもさまざまな症状に効果があります。

しかし、体を元気にする事と、病気の診断をする事とは別のことであり、病気の診断は病院の仕事になります。私達は「この患者さんは病院に行ったほうがよい」と思えば、患者さんが病院に行くよう、そっと背中を押すような言葉をかけますし、鍼灸治療で元気になる症状であれば鍼灸治療で対応します。すぐに判断できず様子を見る事もあります。

私たち鍼灸師は診断が出来ないので、最初に述べた質問のように「先生、私の病気は何ですか?」「病院に行かなくても大丈夫ですよね?」という問いに対して「病院にいかなくてもいい」なんて返答が出来るはずもありません。

この質問をする患者さんは、とにかく「大丈夫」という安心を求めている事が多いようです。鍼灸治療を通して体の症状が少しずつ変化・改善していく中で、気持ちが和らいできたり、症状とうまく付き合っていけるようになると良いですね。鍼灸治療を通して一緒に変化していきましょう。